離婚調停は長いです。平日の半日が潰れます。半日のうち半分程度は待ち時間です。ただでさえ少ない収入なのに、効率の悪い調停のために平日の半日が潰れるのです。
離婚調停の長さはこれだけではありません。調停が成立(不成立)するまでに1年かかるのは当たり前、2年以上かかることさえあります。こんなに長い長い調停では有休を使い果たしてしまいます。職場にも申し訳ない。精神的にもしんどい。妥協して早く終わらせたい。このように考えるのも自然です。そして、実際、不本意な譲歩をして調停を終わらせる方の何と多いことか。
調停の長さは制度上の欠陥なので当事者側にできることは限られています。それでも少しでも早く離婚調停を終わらせるためにできることはいくつかあります。

まず、通帳や保険、不動産といった財産関係の資料はできるだけ早く開示することです。離婚調停では必ずといってよいほど財産分与が争点になります。財産分与の協議をするためには双方の財産状況がわからないと話が前に進まない。ところが、財産開示が遅い。弁護士がついていても遅いです。
自分名義の財産を人に知られるのは嫌なものです。ましてや下手をしたら財産の一部が憎き配偶者に持っていかれるかもしれない。気持ちはわかります。だからといって、開示を遅らせていたら(相手は財産隠しをしているに違いないと)疑心暗鬼になってかえって調停が長引きます。
当方は財産開示をしたのに、相手方があるはずの財産を開示しない。そのときは何度も調停を重ねるのではなく、できるだけ早期に調査嘱託を申し立てるのです。銀行名と支店がわかれば預貯金の取引履歴を裁判所が調査してくれます(金融機関の一部は調査を拒否しますが)。退職金の調査もできます。ここで関門となるのが残念ながら調停員です。「調停は話し合いの場なので調査嘱託は相応しくない。」などと知った顔をして言い出します。当事者の苦労を何もわかっていないくせに。その時は「調停でも裁判官が必要と判断すれば調査嘱託は行われている。」「私は暇人ではない。」「生きるために必死に働いているのだ。」と強く反論してください。感情的になっても構いません。怒らなければ現実は変わりません。裁判所が悪いのです。怒りをたしなめる人は現状に安住しているだけです。

次に、離婚調停の協議に入る前に婚姻費用の額で揉めることがあります。ひどい場合には1円も払わないなどと言い出す人もいます。こんな人とは離婚して正解です。そうはいってもお金は必要です。生活のために背に腹は代えられません。相手方が支払意思を示さないのであれば、できるだけ早く「婚姻費用の分担に関する仮払の仮処分」(保全)を申し立ててください。仮処分を申し立てると裁判官が出て来ます。調停員だけのノロノロとした進行から解放されます。法的根拠に基づいた議論もできるようになります。
文章が長くなりましたので、続きは(下)として書きます。
(丹波市 弁護士 馬場民生)