お盆の連休が始まりました。裁判官は3週間の夏休みです。神戸地・家裁柏原支部のように裁判官が一人しかいない裁判所では、その間、裁判は行われません。弁護士もお盆休みを取られる方が多いものの、さすがに3週間もの休みは取れません。そんなに長期の休みを取ったら依頼者からクレームが殺到するでしょう。

さて、ここから本題です。「家庭の法と裁判」最新号(7月号)に節税目的の養子縁組の効力を判断した最高裁判決(平成29年1月31日判決)が紹介されていました。多額の財産を所持されている方が、将来の相続税を減らすために養子縁組をすることがあります。このような目的の養子縁組が許されるのかが争点となりました。

最高裁は「専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。」と述べて、(本件については)節税目的の養子縁組は有効と判断しました。

最高裁は全ての節税目的の養子縁組を有効と判断したものではありません。養子縁組の当事者に縁組をする意思が全くなければ、どのような目的の縁組であっても無効です。

「家庭の法と裁判」の解説によれば、養子縁組は有効であっても、税務署長の判断で養子を相続人の数に算入しないこともできるようです。ですので、養子縁組をしたとしても、必ず節税できるとは限らないのです。

相続の際には税金をはじめとした多くの問題を検討する必要があります。連休の間に将来の相続について勉強してみられてはいかがでしょうか。

(丹波市 弁護士 馬場民生)